カクテルで使われるジンは蒸留酒の1種
ジンは、大麦、ライ麦、ジャガイモなどを原料とした蒸留酒(スピリッツ)です。ジュニバーベリーで香り付けされているのが特徴です。蒸留酒の中ではそれほど個性が強くないこともあって、カクテルベースとして最もポピュラーな材料とされています。11世紀ごろに、イタリアの修道士がスピリッツにジュニバーベリーを使っていた記録があり、現在これが発祥であるとされています。そして1660年にオランダにあるライデン大学の医学部教授、F・シルヴィウスが解熱・利尿用の薬酒として作った物が、おいしいことから一般化して広く飲まれるようになりました。そして、オランダ貴族オレンジ公ウイリアムが、イングランド国王として迎えられた際にイギリスにも伝えられるにつれて人気を博し、その後アメリカへも伝わり普及していきました。
カクテルベースとして用いられるようになったのは20世紀に入った頃といわれています。ジンを用いたカクテルで最も名を知れれているのはマティーニでしょう。マティーニはベルモットとともにステアしてオリーブを飾った物です。イギリス首相、ウィンストン・チャーチルも好んでいたといわれます。そして、レイモンド・チャンドラーの小説「長いお別れ」に登場するギムレットも有名です。ギムレットは、ライム・ジュースを加えてシェイクして作ります。他には、炭酸飲料のトニックウォーターを使ったジン・トニックなどもスタンダードカクテルとして親しまれています。